進化の先に手にした純粋な移動
ステアリングコラム右側から生えるレバーを、上(右回り)にひねるとDレンジ、下(左回り)にひねるとRレンジ、先端を押すとPレンジという一風変わった操作のATセレクターに慣れるまで多少時間がかかった。ウインカーレバーが国産車同様、右側に備わっているのは、国産車からの乗り換え組には親切だ。
走行性能は“十分”という言葉で片づけてしまいたくなるEV特有のもの。前後2モーターのラウンジAWDは、最高出力305PS(225kW)、最大トルク605N・mと十分なスペックをもち、2100kgの重量級ボディーをものともせず加速させていく。官能性とは無縁。決してディスっているのではなく、クルマが進化を重ねて到達した高みは純粋な移動だったという印象だ。
緻密な制御が可能なモーター駆動によって、誰でもスムーズな加減速を味わうことができる。アクセルペダルオフによる回生ブレーキの強さをパドル操作で選択することができ、いわゆるワンペダルドライビングが可能な「iペダル」モードもある。
望めばアクセルペダルを戻すだけで完全に停止できるのは素晴らしい。“停止する際はブレーキペダルを踏む操作を行うべし”という考えのもと、完全停止させない電動車が主流だが、そうしたい人はそうすればよいだけで、アクセルオフで完全停止させ(る利便性を享受し)たい人の要望を封じていないのがよい。
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