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今回、米国フロリダ州に本社を置くMagic Leap(マジックリープ)のAR(拡張現実)ゴーグルの第2世代機「Magic Leap 2」(以下、ML2)を紹介する(図1)。透明なレンズを通して外界を見ながら、デジタル映像を重ね合わせて見ることができる装置だ。第1世代の「Magic Leap One」は2018年に2295米ドルで発売された。今回のML2は、価格がおよそ1.5倍の3299米ドル(1米ドル150円換算で49万4850円)で2022年9月に発売された。
この値段は正直、一般消費者にとって手の出ないものだろう。ただ、内部を開けてみると、専用部品や高価なカメラ/光学部品の塊で、高価なのは納得してしまう造りだった。これまでのエレクトロニクス機器の歴史を考えれば、デバイスが大量に出回るようになれば安くなるのだが、果たしてこうしたデバイスが広く使われる日が来るのかと考えてしまった。
映像はLCOSと3色LEDで生成
ML2は、情報提示用のメガネ型端末(ヘッドセット)、電池や情報処理用基板を格納するコンピュートパック、コントローラーからなる(図2)。ヘッドセットとコンピュートパックは有線ケーブル、コントローラーはBluetoothの無線でコンピュートパックと接続する。
まず、ヘッドセットから見ていこう(図3)。今回のように外部の実際の光を取り込む装置の場合、なるべく映像生成部は小さくする必要がある。映像生成部が大きいと装置が巨大化し、眼鏡のようにかけられなくなってしまうからだ。市場投入済みの機器では、小型映像生成デバイスとして、レーザーとMEMS(微小電子機械システム)の超小型ミラー、反射液晶、マイクロOLEDなどが選ばれている。
図3 ヘッドセットの構成部品
上段は左上から順に、右つるの外装とインナーカバー、メガネ型のベース、ヘッドストレッチバンド、アイピースフレーム、ケーブルとケーブル基板、左つるのインナーカバーと外装。中段は左上から順に、右つる信号伝送用フレキシブル基板、右耳用スピーカー、右目用RGB LED、右目用レンズ、右目用マイクロディスプレー(LCOS)、フレキシブル基板、センサー用フレキシブル基板、導波路ディスプレーユニットフレーム、左目用レンズ、左目用マイクロディスプレー(LCOS)、左耳用スピーカー、左つる信号伝送用フレキシブル基板、ヒートパイプ。下段は左上から順に、右目用フィルター、アイトラッキング用LED付きフレーム、フロントフレーム、フロントカバー、左目用フィルター(写真:スタジオキャスパー)
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ML2ではLCOS(Liquid Crystal On Silicon)と呼ばれる反射液晶が採用されている。LCOSはその名の通り、シリコンウエハー上に液晶パネルを形成したデバイスで、超高精細な映像を生成できる。表面から光源の光を入れ、その反射光を画像とする(図4)。ML2では赤・緑・青の3色の光源が搭載されている。タイミングをずらしてLCOS表面を照らし、反射した光を特定の波長(色)を発色させる3枚重ねの偏光板に投影し、この反射光を導光板で目に届ける。ML2のLCOSのデバイスは米OmniVision Technologies(オムニビジョン・テクノロジーズ)が供給している。
このほか、ヘッドセットには視線検知用のカメラと赤外線LED(図5)、外を撮影するためのカメラ、距離認識のためのToF(Time of Flight)センサー、スピーカーなどが搭載されていた。
メインSoCはAMDコア搭載の独自品
コンピュートパックは円形のユニットで内部に円形の基板と楕円のケースに入った電池が格納されていた(図6)。基板に搭載されているチップをみると、ほぼスマートフォンだ(図7、図8)。米AMD(Advanced Micro Devices)のコアを採用した独自開発のSoC(System on a Chip)の周辺に、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)のDRAMや米Micron Technology(マイクロン・テクノロジー)のフラッシュメモリー、米Texas Instruments(TI)のUSBコントローラー、各種電源回路などが搭載されている。Wi-Fi/Bluetooth用のモジュールに、村田製作所の製品が採用されている。
なお、第1世代のMagic Leap OneではSoCは、米NVIDIA製が採用されていた。ML2ではCPU表面に「magic leap」というロゴと「POWERED BY AMD」が刻印されており、Magic Leapのカスタム品であることが強調されている。このSoCはかなり熱くなるようだ。大きなファンが基板全体を覆うように搭載されていた(図9)。
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