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「統合司令部」巡る陸海空3自衛隊の対立と結束 - 読売新聞オンライン

 陸上、海上、航空の3自衛隊の特徴を言い表す有名な四字熟語がある。
 陸自=「用意周到」「動脈硬化」
 海自=「伝統墨守」「唯我独尊」
 空自=「勇猛果敢」「支離滅裂」

 自衛隊内で長年、ユーモアを交えて語り継がれてきた。3自衛隊の長所と短所についてそこそこ的確に指摘している気がする。

 陸自は、綿密な作戦や計画を時間をかけて立てるのが非常に得意な反面、柔軟で機動的な対応を欠きがちだ。旧海軍の伝統も大切にする海自は、正しいと信じたら周囲の助言にも耳を貸さない傾向が否めない。空自は、領空侵犯機に対する緊急発進(スクランブル)などの任務を真っ先に担うが、いったん空に飛び立った後は自由気ままな面がある――。そんな解説を聞く。

 日本の安全保障環境が「戦後最悪」とも評される今、防衛力の抜本的な強化は待ったなしだ。高価な装備を大量に導入するだけでなく、3自衛隊がそれぞれの持ち味を生かしつつ、結束を一段と強める必要がある。

 そんなことを考えたのは、2022年12月に閣議決定された国家安全保障戦略など安保3文書の策定過程で、3自衛隊の足並みが乱れ、重要な案件が先送りされたからだ。陸海空3自衛隊の部隊指揮を一元的に担うために新設される「統合司令部」の設置場所である。

 陸上自衛隊などが陸自の朝霞駐屯地(東京・大泉学園)への設置を主張したのに対し、海上自衛隊などは東京・市ヶ谷の防衛省に置くよう求め、折り合いがつかなかった。年明け以降の協議で、ようやく市ヶ谷への設置案で決着する見通しとなった。調整が難航した背景には、3自衛隊の主導権争いや、政治と軍事の関係を巡る考え方の違いがあったのは確かだ。

 そもそも統合司令部の新設構想が浮上したのは、台湾有事など、大規模な自衛隊の部隊運用が必要な事態に備えるためには、常設の司令塔組織が必要だとの判断による。

 統合司令部は平時には、様々な危機に発展しかねない周辺国の軍事情報を分析し、具体的な対応策を検討したり、作戦計画を策定したりする。有事と平時の中間のグレーゾーン事態になれば、危機の拡大を防ぐために警戒監視活動を強化するなど、部隊運用の指揮統制に移行しつつ、より本格的な有事対応の準備に入ることを想定している。危機の発生前から継続的に最大限の備えをすることが大きなポイントだ。

 現在は、2006年3月に発足した統合幕僚監部がその任務を担う。実際に有事になれば、事態の内容に応じて、陸海空3自衛隊混成の統合任務部隊(JTF)を編成し、指揮官を任命する。

 統幕の発足までは、3自衛隊の業務を調整する統合幕僚会議が存在していたが、人数も少なく、権限も限定的だった。その結果、3自衛隊は別々に部隊を運用し、装備を購入するのが基本で、部隊の輸送の協力体制が弱い、通信機器の互換性がない、といった重大な弊害があった。主要国の軍隊は1990年代から、陸海空軍の部隊を一体で動かす統合運用に続々と移行しており、自衛隊は世界の潮流にやや遅れた格好だった。

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