ワシントン州ベルビューのT-モバイルのオフィスでは、エアストリームから社員にフローズンヨーグルトが提供される。
Gensler
- ニューヨークのような大都市では、オフィスの平均利用率は新型コロナウイルス流行前の50％程度になっている。
- 企業側は特典を充実させ、ハイブリッドワークが可能なスペースで対応している。
- 社員にエアストリームでフローズンヨーグルトを提供する企業から要塞のようなミーティングルームまで、さまざまなオフィスの特典を見てみよう。
オフィスは今、包囲網の中にある。
ウォール・ストリート・ジャーナル（WSJ）によると、ビルなどのアクセス制御システムを開発するカッスル・システムズ（Kastle Systems）が確認したアメリカの主要10都市のオフィスの平均利用率は、パンデミック前の50％程度だという。一方で職場への関与や熱意を評価するギャラップ（Gallup）の年次調査によると、社員の仕事や職場に対する愛情度は2020年以降低下している。
何百万ドルも費やしてオフィスを借り続けているものの、その多くが使われていない大企業にとって、今や清算の時が来ていると言える。一部の企業はリモートで働いている人をオフィスに呼び戻すため、特別な特典を用意したり、在宅勤務の雰囲気を模倣しつつ、オフィス本来の｢コラボレーション｣を促進するようなスペースを提供している。
フローズンヨーグルトのサービスステーションとしてキャンピングカーのエアストリーム（Airstream）を使っているワシントン州ベルビューのT-モバイル（T-Mobile）、レトロなバーのようなワークルームのあるカナダ・トロントのピンタレスト（Pinterest）など、各企業ではスペースを刷新したり、仕掛けを使って社員を職場に呼び戻そうとしている。それでは最先端を行くオフィスを覗いてみよう。
カナダのトロントにあるピンタレストのオフィスには、バラエティに富んだミーティングスペースがある
Gensler
例えば、上の写真のスペースはグランピングをテーマにしたもので、アメリカ最大の建築設計事務所ゲンスラー（Gensler）がデザインしている。
ピンタレストのトロントオフィスは3つのフロアがあり、レトロなバーのようなミーティングルームなど、各所に少人数でミーティングできるユニークなスペースが設けられている
Gensler
このトロントのオフィスは、｢カナダ的な余暇の楽しい過ごし方｣からヒントを得て、ゲンスラーが設計したものだという。
ワシントン州ベルビューにあるT-モバイル本社には、2つのフロアに職場を快適にする施設が備わっている
Gensler
その1つはフローズンヨーグルトを提供するエアストリームだ。
T-モバイルのキャンパスの屋外には椅子、ゲーム、個室ブースも置かれている
Gensler
新型コロナウイルスの感染拡大の影響でオープンエアへの関心が広まり、さらに日中に新鮮な空気を吸いたい人が多いことから、今やオフィスには屋外スペースが欠かせない要素になっている。
アリゾナ州チャンドラーにあるインサイト（Insight）本社には、デジタルのスマートボードや書き込み可能な壁が設置された会議室がある
Gensler/Ryan Gobuty
この技術はオフィスと自宅で働くインサイトの社員1400人のコラボレーションに役立っている。また、オフィスにはカジュアルな集まりのためのスペースも充実している。
マンハッタンの高層ビル｢ゼネラルモーターズビル（General Motors Building）｣の｢サボイ・クラブ（The Savoy Club）｣は、3万5000平方フィート（約3251平方メートル）の広さを誇る働く人のためのアメニティエリアだ
BXP
｢サボイ・クラブ｣は2023年3月にオープンした。
｢サボイ・クラブ｣のフィットネスセンターは、高価なダイソンのヘアドライヤーを備えたロッカールームを完備している
BXP
エスティ ローダー（Estee Lauder）、法律事務所ワイル・ゴッチェル・アンド・マンジス（Weil, Gotshal & Manges）など、このビルに入るテナントで働いていれば、同クラブのフィットネス・ヘルスセンター、カフェテリア、会議室などを利用できる。
ブルックリンには、ビルの全テナントにフィットネスセンターを提供しているオフィスビルもある
Ty Cole
ブルックリンのオフィスビル｢25ケント（25 Kent）｣に入るアマゾンミュージック（Amazon Music）やストリートウェアブランドのキス（KITH）などの従業員は、マンハッタンを見渡せる共用ルーフデッキ、レンタルのスクーター、最大150台の自転車保管庫（自転車修理工場も併設）も利用できる。
スウェーデンの建設・開発企業スカンスカ（Skanska）は、ビバリーヒルズにオフィスビルを建設している
Skanska
このビル｢9000ウィルシェア（9000 Wilshire）｣という名前だ。
スカンスカが建設中の9000ウィルシェアには、屋外のワークスペースや開閉可能な窓などがあり、屋上デッキからの眺めも楽しめるという
Skanska
スカンスカはビルのテナントをまだ発表していないが、2023年の夏にはこのビルをオープンさせる予定だ。
オフィスでできることを見直す企業もある。シスコ（Cisco）は、ウェブ会議用ツール｢ウェベックス(Webex)｣のホログラフィー機能を開発中だ
Cisco
ヘッドセット｢マイクロソフト・ホロレンズ（Microsoft HoloLens）｣を装着すれば、社員は立体的な３D映像のホログラムを見ながら会議を行えるようになる。これはシスコだけでなく、多くのオフィスに導入される可能性のある技術だ。
オープンプランで設計されたオフィスでは、機密性の高い電話や会議をを行う場の需要が高まる。オフィス家具のスタートアップのルーム（Room）は、1人用または数人用のユニット式の会議スペースを製造している
Room
グーグル（Google）、ウーバー（Uber）、NASAにも製品を販売しているルームは、同社で最も売れているのは5995ドル（約78万5288円）の一人用の防音テレビ会議電話ブースだと2022年12月にInsiderに語っている。
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