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「プチプチ」を使った救命胴衣 篠田興業が開発中 - 北海道建設新聞

浮力と保温に優れ安価

 海難事故の際に一人でも多くの命が助かれば―。メロディーロードで知られる篠田興業(本社・標津)は、気泡緩衝材(通称プチプチ)を使った救命胴衣補助具・仮称アノラッコを開発中だ。27日に標津漁港での海中実証実験を初めて実施。従業員が体を張って浮力や保温効果を確かめた。

 4月に発生した知床の観光船沈没事故では、乗客乗員26人全員が死亡または行方不明に。「救命胴衣だけでは体温を保てないが、高価なウェットスーツやドライスーツを人数分用意するのは小規模な事業者にとって負担が大き過ぎる」と感じた篠田静男社長は、安価で効果的な補助具の検討を始めた。

 目を付けたのは、独立した小さい気泡が無数に並ぶ緩衝材。一部が損傷してもある程度の浮力と保温効果が維持できると考え、8月から試作に取り掛かった。

 メーカーに問い合わせ、市販品よりも強度がある素材を確保。型取り、粘着テープによるつなぎ目接着、着脱用の面ファスナーと腰・袖口・裾へのベルト取り付けなどを全て手作業で進めた。原材料費は1着当たり3000円程度だという。

 この日の水温は13度。従業員の藤信直也さんがアノラッコの上から救命胴衣を着用して海中に入り、10分ほど仰向けに浮かんだ。

 陸に戻った藤信さんは「保温効果が高く、陸上では汗ばむほど。裾と袖口を絞るため仰向けに浮いている間はほとんど水が入らず、冷たさは感じない。下半身に浮力を受けるので安定感もあった」と振り返った。

下半身にも浮力を受けていることが分かる

 篠田社長はむき出しになっている手足部分の一体化などを改善点に挙げ、年度内には技術的に確立させる意向を示した。「海上保安庁が救助態勢を強化するというので、1時間ほど体温を保てれば救命率が上がるはず。災害時の避難所で防寒対策にも活用できるのでは」と期待する。


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