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「Meta Quest Pro」をAV目線でチェックする - AV Watch

Meta Quest Pro。価格は22万6,000円

10月末に発売されたばかりの「Meta Quest Pro」のレビューをお届けする。

HMDには2種類ある。マス向けに、ゲームを軸として販売される比較的低価格なモデルと、業務用を軸に性能を追求した高価なモデルだ。「Meta Quest 2」や、先日レビューした「PICO 4」は前者であり、マイクロソフトの「HoloLens」などは後者にあたる。

Metaより安くて高性能、「PICO 4」の価値をチェックする

Meta Quest Pro(以下Quest Pro)はQuest 2のアプリが全て動き、OS的にも開発環境としても親和性を保ちつつ、22万6,000円(米ドルだと1,499ドル)という価格は個人向けというにはギリギリのラインかと思う。それでも、過去の業務用HMDに比べると、半分以下の価格になっているのだが。

Quest 2やPICO 4と同じ感覚で手を出す人は少ないだろうと思うが、その性能がどこまでのものなのかは気になる人もいるはず。

左からMeta Quest 2、Quest Pro、PICO 4

実際、体験の質は非常に高く、Quest 2から大幅な進歩を遂げている。

その価値はどこにあるのか? 特に本誌向けにはいつものごとく「AV目線」で語ってみたいと思う。

顔に負担をかけずつけ外しが快適な構造

「被り心地」もいい。

前述のようにクッションがしっかりしていることに加え、バンドがスムーズに動き、付け外しがしやすい。この点は後発のPICO 4も良いな、と思ったが、Quest Proはさらにいい。

被り心地がいいのには訳がある。そもそも「顔を覆わない」構造だからだ。

他のHMDは没入感を高めるため、顔にスポンジでできたカバーを押し当てる構造になっている。そうやって遮光することで周囲を見えなくし、VRの世界に入り込みやすくしているのである。

上から順にQuest 2、PICO 4、Quest Proの内側。顔に接触する部分の考え方が大きく違うのがわかる

だがQuest Proは逆に、そうした遮光をしていない。付属する「部分遮光ブロッカー」をつければ横からの光を遮断することはできるが、他機種と同じように遮光するには、別売の「Meta Quest Proフル遮光ブロッカー」(6,820円)を購入する必要がある。

付属の「部分遮光ブロッカー」。マグネットで横につけることで、入ってくる光を少し減らす
部分遮光ブロッカーをつけてみたところ

こうした構造になっているのは、仕事などのために「つけ外し」を容易にするためと思われる。顔に跡もつきづらい。

レンズと顔の間の隙間が大きいので、メガネをつけたまま楽々使えるのも大きい。VR機器は蒸れやすいものも多いのだが、これは空気がうまく逃げるので蒸れることも、熱気を強く感じることもない。この辺は快適さを語る上で重要な要素だ。

Quest Proをつけている時にはこんな感じに。もちろんメガネはかけたまま使っている

また、目の下から少し実際の風景が見えるのは悪くない。ゲーム向けだとどうかと思うが、キーボードを打ったり飲み物を飲んだりするにはちょうどいい。

この要素は、後述する「ビデオシースルー」と関係している。

会議サービスなど、仕事関係のアプリを短時間(1時間半くらいまでだろう)使って外し、また必要になったらつける、という使い方を志向しているのだろう。充電ドックがセットになっているのもそのためと思われる。

HMDの画質はパネルだけで決まらず。読みやすい文字と鮮明な表示が利点

では画質はどうか?

これははっきりしている。Quest Proが一番良く、次にPICO 4、そしてQuest 2の順だ。

実は面白いことに、採用しているディスプレイの解像度でいえばPICO 4は片目2,160×2,160ドットで、他の2機種より優れている。それどころか、Quest ProはQuest 2と同じく、片目1,832×1920ドットである。

なのになぜQuest Proの画質が高いのか?

それは、VR用HMDがディスプレイを直接見ているのではなく、レンズなどの光学系を通して見ているものだからだ。

Quest 2はフレネルレンズを使っていて、結果的に解像感は出にくい。暗い画面の時に中央に強い光が表示されると、レンズの段差で光が意図せず広がる「ゴッドレイ」と呼ばれる現象が出て、これが画質を下げる。

PICO 4はボディを薄型にするため「パンケーキレンズ」を採用している。コストはフレネルレンズより高くなる。中心部での画質は良好だが、周辺部は歪みやすく、全体的に少し眠い。色も浅めだ。Quest 2に比べると良い画質かとは思うが、劇的と言えるほどの差ではない。

だがQuest Proは「劇的に違う」。特に解像感が高く、非常にすっきりとした見た目に感じる。文字もかなり見えやすくなり、ウインドウのエッジにもぼやけを感じにくい。相当レンズの質が違うのだろう。

もちろん、ドットの間の隙間などは感じられず、密度感もある。こうした特性はまさに、文字などをちゃんと見るには必要な要素かと思う。

Quest 2と同じアプリが使えるので、NetflixやAmazon Prime Videoをはじめとした多くの映像配信が見られる。特に、Amazon Prime VideoはVR用のアプリがかなり作り込まれていて快適だ。ブラウザーからの視聴も問題ない。この点、PICO 4はまだソフト面で遅れをとっている印象が強い。

ゴッドレイが出ないこと、密度感・精細感ともに良好であることから、3機種で最も映像視聴に向いているのはQuest Proである、と言って間違いない。

前述のようにあまり遮光には気を使っていない構造なので、周囲が明るい状態だと光が気になるかもしれない。ゲーム同様、映像を見るために使う場合には、そこが懸念点だ。

なお残念ながら、映像をHDRで楽しむことはできていない。デバイス的にはHDRも可能なローカルディミング対応のディスプレイを使っているのだが、現状、Quest 2向けに作られたアプリでは対応していないようだ。

価格に見合う価値は「今でなく未来に」。表情認識などの活用に期待

こうした要素を見ても、Quest Proは非常に良くできたデバイスであるのがわかる。

ただ、課題は「22万円以上」という価格だ。現状の良さの多くは高額なデバイスゆえに実現されている部分が多いのだが、かといって、「Quest 2ではまったく体験できない要素」ばかりか、というとそうではない。シースルーにしてもカラーかグレーかの違いに過ぎない、と言ってしまうこともできる。

そういう意味では、「人の体を認識する精度」の違いこそ、Quest Pro最大の価値といえるのかもしれない。

手を認識してのジェスチャー操作はQuest 2でもできたが、精度が圧倒的に上がった。これなら、ゲームをするのでないちょっとした操作なら、コントローラーを持つ必要はあまりない。そして、コントローラー自体、精度と反応が本当に良い。「手が背中で隠れても反応する」という点がウリだが、それがなくても、小さくなって使いやすくなっているのはプラスだ。

そして、「表情認識」があるのも大きい。以下は「Horizon Workrooms」を使い、自分の表情を変えてみたところを拡大した動画だ。VR内でキャプチャしたものなので、ぶれなどがある点、ご容赦いただきたい。

表情認識機能を使ってアバターに表情を反映可能に

表情認識を動画で。VR内で撮影したものなのでブレがある点ご容赦を

けっこうしっかりと顔の表情を読み取っている。この表情変化に、「ボタン操作」は一切ない。普通に表情を変えて、それに反応しているのだ。

他人とアバターを介してコミュニケーションする場合、表情や視線は重要になる。人間が自然にやってきたことをネットワーク越しでも再現するには手間がかかる。

「実際に会えばいいからそんなのは無駄だ」というふうに、筆者は思わない。アバター同士で会うこと、アバターとして他人にパフォーマンスを見せることもまた、新しい世界だと思うからだ。

そのための道具としては、現状大袈裟なものかもしれないが、今後これが小さく安くなっていけば、色々なところに入っていける。そもそも、22万円でちゃんと表情が再現できて快適なHMD、という段階で、これまでに比べ圧倒的に安いのだ。もしかすると、Vtuber向けなどに専用アプリケーションとアバターを用意し、「業務用途」で使うなどの用途で普及するのかもしれない。

そうした「新しい可能性」は、新しいハードで生まれる。

高いのは間違いないし、仕事に使える人もまだ多くはないと思う。しかし、こうしたトライアルをMetaがするのは、彼らが「メタバース事業をここで諦めるつもりがない」印であり、その成果はこの先で生きてくるだろう。

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