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33000円! 安比高原、日本一高価なプレミアム・リフトチケット。その中身とは? - GOETHE

世界のスキー観光産業のなかで名誉ある賞と名高い「WORLD SKI AWARDS 2023」において、「Japanʼs Best Ski Resort 2023」最優秀賞を受賞した安比高原スキー場。その安比で今シーズン、日本一高い33,000円のリフトチケットが発売されるという。プロデュースした元アルペンスキーヤーの皆川賢太郎が「決して高くない」と言い切るその中身は。

世界屈指のパウダースノーを堪能できる最上級チケット

人気のあるスキー場には混雑がつきものだ。

平日はともかく週末や休日ともなると、ゲレンデもリフトも飲食店も人で溢れている。30〜40分待ってリフトに乗り、大勢の人を避けながら滑り、食事をするのに行列に並ぶ。滑っている時間より、並んでいる時間のほうが長かった……という話もよく聞く。

今シーズン、岩手県の安比高原スキー場で発売される週末限定の「ブラックパス」は、そんなスキー場での混雑によるストレスをゼロにし、かつ世界屈指といわれる安比のパウダースノーを心ゆくまで楽しむことができるプレミアムなリフトチケットだ。

1日33,000円という価格に驚く人もいるかもしれない。だが、その中身を知れば決して高額ではないことが理解できるだろう。

安比におけるファーストクラスともいえるチケット、「ブラックパス」のプレミアムな特典を下記に記述しよう。

・ブラックパス専用の西森地域のコースを貸し切り(キャット使用)
・営業開始1時間前から滑ることができるファーストトラック権
・大型リフト、安比ゴンドラの優先乗車
・専用の山頂ギャラリーカフェの利用(アルコール類は有料)
・フードコート優先レーン+優先席

「ブラックパス」でもっとも満足度を実感できるのがこちらの特典だろう。キャット(雪上車)で訪れる西森地域は、「ブラックパス」を持つ人だけが滑ることのできる特別エリア。キャットを使ったツアーは他のスキー場でも見られるが、それだけで数十万円のコストがかかるのが一般的。リフトに乗って山頂に行くのとは違い、キャットに乗って非圧雪の地を登り、窓から眺める木々や山々の景色にも目を奪われながら、滑走スタートポイントまで行けるのも、体験としての価値が高い。

また、営業開始の1時間前に入場でき、その日誰よりも早く滑ることができるファーストトラックを堪能できるのも大きな魅力。通常ファーストトラックと言えば争奪戦になるものだが、そのストレスがない。静寂に包まれたまっさらのゲレンデで、安比自慢のパウダースノーの上を空中に浮いているような感覚で滑り降りる。軽い雪が舞い上がり、顔にかかり、そして滑り終わった後に自分の滑った跡を見る快感。そんな最高の時間はなかなか得られるものではない。

滑りすぎて疲れたならば、山頂にあるブラックパス専用の特別なカフェへ。混雑のない空間で、コーヒーなどのドリンクを飲みながらゆっくり休憩することが可能となっている。

行列に並ぶことなく優先レーンを使って、リフトやゴンドラ、フードコートを利用できるのもプレミアムなポイントだ。

ヨーロッパのスキーリゾートに負けない安比の魅力

今日本でいちばん高価なプレミアム・リフトチケット「ブラックパス」を発案したのは、現在安比高原スキー場のスキー事業統括本部 統括として、スキー場のリブランディングに取り組んでいる皆川賢太郎さん。

1998年の長野から2010年のバンクーバーまで4大会連続でオリンピック出場を果たしたアルペンスキーの名選手は、毎日のように安比で滑るなかで、この企画を思いついた。

「安比高原スキー場が持つポテンシャルを最大限に引きだしたいんです。

基本的に日本のスキー場はヨーロッパに比べて安全上の規制がやや厳しい。ちょっとやりすぎで窮屈なくらいだと感じています。

日本のスキー場でも安全性を確保しつつ、林間に滑れる導線を新たにつくったり、拓けた地に積もった極上パウダーを解放したり、山全体をもっと楽しむことができます」

インバウンドも増えているなか、安比高原をアジア版のスイスのような街にして、グローバル化に対応したインターナショナルリゾートを目指したいと皆川さんは話す。

「自分の目で見て、安全に楽しめるエリアを探しました。さらにここなら樹氷を見ることができる、この場所のヴァージン・スノーは本当に素晴らしいなど、このスキー場の付加価値をひとつずつ見つけ、それを堪能できるブラックパスの発売を提案しました。

スキーを理解している人なら、決して高くないどころか、むしろ安いと思ってもらえる内容だと思っています。

アメリカやヨーロッパなど世界中の山々を滑ってきましたが、ここ日本の安比高原は本当にポテンシャルが高い。だから、僕は3年前に安比高原のリブランディングのオファーを受けたときに、世界に負けない価値を見いだせると思ったんです」

ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート、ANAクラウンプラザリゾート安比高原、ANAホリデイ・インリゾート安比高原など、快適かつラグジュアリーなホテルが続々開業している安比高原。

皆川さんのおすすめは金曜日の夜からの滞在だという。

「金曜日の夜に安比に来て、ブラックパスを購入してもらって、土曜日の朝一番から世界でも有数のパウダースノーでスキーを楽しむ。待ち時間もなくどんどん滑ることができるので、プロのスキー選手でもお腹いっぱいになるはずです(笑)」

実際に、皆川さんが参加している経営者が集まるスキーチームを安比高原に連れてくると、全員満足して東京に帰っていくそうだ。

「極上の雪を楽しむため、東京からのアクセスのよさは安比高原の魅力だし、さらにいえばゲレンデのバランスもいい。それにバックカントリーも含め、安比高原は最も雄大なスキー場だと。

インターコンチネンタルホテルズやインターナショナルスクールのハロウ校など、大きな資本も入って、今後安比高原は大きく飛躍すると言ってくれて、ビジネスの可能性も見いだしてくれている経営者の方々もいます」

世界中のスキーリゾートを知り尽くした男が「高くない」「他所では体験できない」と断言する33,000円の「ブラックパス」は、プレミアムなサービスを付加した、いわばスキー場のファーストクラスである。

リゾート地のビジネス視点としても面白い。これはスキー好きならずともぜひ試してみたくなるではないか。

安比高原スキー場
APPI Snow Mountain Resort

岩手県北東部に広がる安比高原は、パウダースノーで知られる日本を代表するスキー場のひとつ。世界に誇る新しいスキーリゾートの魅力を発信している。「WORLD SKI AWARDS 20232023」において、「Japanʼs Best Ski Resort 2023」最優秀賞を受賞。

安比高原スキー場MAP
住所:岩手県八幡平市安比高原117
アクセス:いわて花巻空港からクルマで90分。詳細はこちら
HP:https://www.appi.co.jp/snow-mountain-resort/
皆川賢太郎/Kentaro Minagawa
1977年新潟県生まれ。アルペンスキー選手として、1998年の長野五輪、2002年のソルトレイクシティ五輪、2006年のトリノ五輪、2010年のバンクーバー五輪の4大会連続出場。現在はスポーツ界、スキー界で幅広く活躍。2021年より安比高原スキー場のスキー事業統括本部統括として同スキー場のリブランディングに取り組む。

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