
安倍晋三元首相が奈良市で参院選の街頭演説中に銃撃を受け、死去してから1年となった。選挙活動のさなかの元首相銃撃は民主主義を脅かす蛮行だ。どんな理由があったにせよ自由な言論を暴力で封じる行為は許されない。安倍氏の無念を思い、改めて哀悼の意を表したい。
一方、銃撃事件を機に浮上した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と安倍氏ら政治家との不透明な関係や、教団の高額献金問題などの実態はいまだ明らかではない。同様の事件の再発防止のためにも、背景にある問題の徹底解明は不可欠だ。
殺人罪などで起訴された山上徹也被告は、母親が約1億円の献金をしたため家庭が崩壊したなどと教団への恨みを供述。当初、教団の韓鶴子(ハンハクチャ)総裁を狙おうとしたが、韓国在住の韓氏が来日しないため、教団との関わりが深い安倍氏を狙ったと話しているという。
教団を巡っては1990年代以降、霊感商法で高価なつぼや印鑑を買わされたなどとする被害が続出して社会問題化。その後も信者に高額献金を求め続け、教団本部がある韓国側への送金は年間数百億円に上っていたとされる。こうした活動にストップをかけ、山上被告のような「宗教2世」が二度と生まれないようにすることが重要だ。
事件を機に成立、施行された不当寄付勧誘防止法は「霊感」と称して不安をあおるなどする寄付勧誘を禁止。「個人の自由な意思を抑圧しない」などの配慮義務を設けた。
だが配慮義務には罰則がないため実効性を疑問視する声が多い。法施行で終わりとせず被害防止に有効な法運用を進め、必要があれば柔軟に法改正を行うことが求められる。
文化庁は宗教法人法に基づく教団の解散命令請求を視野にこれまで6回、質問権を行使。組織運営や財産・収支、教団の法的責任を認めた民事判決、韓国への送金などについて尋ねた。
強制力がないため解散命令請求に足りる材料がなかなかそろわず、調査は長期化の様相を呈している。被害者側からの証拠収集をこれまで以上に積極的に進めるなどして、状況の打開を急がなければならない。
教団は、安倍氏以外にも自民党をはじめとする政治家との関わりが明らかになっている。教団は各種会合への政治家の出席などにより、高額献金勧誘などの活動に「お墨付き」を得てきたとみられる。政治家の側は教団の組織票や選挙応援に期待していたのだろう。
岸田文雄首相は批判の高まりを受け、自民と教団の関係断絶を宣言。自民は所属国会議員を対象に教団との関わりを調査した。だが調査は自己申告方式にとどまり、不十分だった。
自民をはじめ各党は国民が事態の推移を注視していることを忘れてはいけない。教団の政治への関与の実態解明に全力を挙げるべきだ。
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