[ソウル 8日 ロイター] - 今年は北朝鮮によるミサイル発射回数が記録的な水準に達している。これは軍事力増強に対する北朝鮮の確固たる意志を示すと同時に、国際的な制裁が効果をほとんど発揮していないことを意味する、と専門家らはみている。
先週北朝鮮は、最新の短距離弾道ミサイル(SRBM)や新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含めて実に80発を超えるミサイルを発射。このような短期間では、過去と比べものにならないほど圧倒的な回数に達した。
北朝鮮は武器の値段を公表していないが、他国の場合ならICBMは1発当たり数千万ドル、ロシアの「イスカンデル」などのSRBMでも最高で300万ドルに上る。
専門家によると、これほど高価な武器を惜しげもなく海に向かって発射していることから、国連安全保障理事会のさまざまな決議に基づく制裁が科せられていても、貧しいはずの北朝鮮にとってミサイルの開発や配備の面でのハードルが非常に低いことが分かる。
韓国外国語大学のメーソン・リッチー氏は、北朝鮮は燃料やミサイル、エンジンと精密誘導システムを含めた複雑な機械類の備蓄がふんだんにあるだけでなく、短期間で新兵器を生産するか、外国から必要な物資を調達する能力も備えているのは間違いない、と話す。
リッチー氏は、どちらにしても対北朝鮮制裁がこれまでいかに機能していなかったか、そして今後も機能しそうにない状況を浮き彫りにしていると付け加えた。
過去数週間で発射されたミサイルの多くは近年登場したSRBMで、その一部は実戦配備されたとみられる。北朝鮮国営メディアは、旧型のスカッドミサイルが発射された様子も伝えている。
欧州を拠点に活動するミサイル専門家のマルクス・シラー氏は「一連の発射からは彼らがこれらのミサイルを数多く手元に蓄えていることが読み取れる」と語る。
<調達ネットワーク>
今活発に議論されているのは、北朝鮮のミサイル開発に対して外国がどの程度まで支援しているのかという点だ。
韓国政府が、先週沖合で発見したSRBMの破片を解析すれば、北朝鮮のミサイルの詳しい構造について新たな手掛かりが得られるかもしれない。2012年には韓国が北朝鮮の宇宙ロケット「銀河」の断片を回収し、部品に英国、スイス、米国、中国、旧ソ連から手に入れた素材が使われていたことが分かった。
北朝鮮は現在もなお、さまざまな素材や原料を海外に依存しているとみられている。
国連安保理で北朝鮮制裁委員会専門家パネルの座長を務めていたヒュー・グリフィス氏は「北朝鮮が弾道ミサイル(の素材)調達のために組織したエージェントの大半は、ロシアと中国にいる」と説明した。
米政府のある報告に基づくと、北朝鮮が最も欲しがっているのは(1)弾道ミサイルの輸送と発射に利用する多数の車輪を持つ大型車(2)鉄・アルミニウムおよびチタニウムなどの特殊金属(3)軽量ロケット製造用フィラメント巻き機(4)アルミ粒子や過塩素酸アンモニアを含む固体ロケット燃料――などだ。
これらを手に入れるため、北朝鮮は海外に設けた幅広い調達ネットワークを利用しており、そこには政府の外交官や通商拠点などの職員、外国人、外国企業が連なっているという。
グリフィス氏は、北朝鮮が必要とする物資の中には小型で特徴がなく、密輸が容易な材料も少なくないと指摘。民間の物流事業者でも輸送が可能との見方を示した。
これに対して米政府は8日、中国から北朝鮮のロケット工業部と情報機関のために電子機器などの軍需物資を輸送したとの理由で、北朝鮮国営の高麗航空の代表ら2人を独自制裁の対象に指定した。
米政府は今年、ロシアで北朝鮮の弾道ミサイルの部品調達を支援するネットワークに対しても、関与したモスクワ駐在の北朝鮮外交官などの個人や団体に制裁を科している。
ロシアと中国はこれまで、国連安保理の決議を履行していると強調。ロシアは、国内でこうした制裁違反の活動が行われたとの情報はないとコメントし、中国も調査した結果、制裁違反の証拠は見当たらなかったとしている。
(Josh Smith記者)
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