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なぜ純正と同じような重さのカスタムホイールは今でも有効なのか? - Webike Plus

近年の純正ホイールは製造技術向上で軽量化が進み、一昔前のレース用マグネシウムホイールを凌駕するような軽量さを誇っています。
見た目もMotoGPで使用されているような最新マグホイールとソックリですし、もう高額な軽量ホイールに交換する意味は無さそうに見えますよね?

もちろんMotoGPに代表される最高峰レースでは今も高価なマグネシウムホイールを使用していますが、それは例え僅かでも軽量化できるなら使用するのが当然だからであり、普通のレース程度ならわざわざ交換するほどの事は無いのでは??
そんな感覚はありませんか?

でも残念ながらそんな事は無くて、今でも軽量ホイールに交換する意味と効果はあります!
それは何故なのか?簡単に解説します!

最近のホイールはスゴイ

古くからバイクに乗っている方なら実感していると思いますが、純粋に最近の純正ホイールの性能には目を見張る物があります。
手に取ると驚くほど軽い!
大げさではなく、体感的には昔のレース用マグネシウムホイールと同等の感触です。

重量も驚きですが、その重量を達成するために折れそうなほど細くなったスポークも「これで純正?!」と思ってしまうこと請け合い。
もちろん細くて軽量な代わりに強度が劣ったりしないのは当然どころか、タイヤ性能の向上に伴う大荷重に耐えられるように剛性は向上すらしている可能性大。

エンデュランスの扱うCBR250R用純正リヤホイール。一応レース用と銘打ってはあるものの、一昔前なら超高額なカスタムホイールとして十分通用する見事なルックス。

こちらはBMW・Kシリーズ用の純正鍛造フロントホイール。フローティングディスクなのにインナーディスクを使用しない最新ハブ形状もさることながら、1300ccの車重を支えるとは思えないスポークの細さが強烈。

CBR1000RR-Rの純正ホイール。これもスポークの細さがスゴイ。スポークが途中から分岐するのはリム荷重を均一に分散する近年のトレンドの一つ。

対するヤマハはコレ。量産車初の回転塑性加工を用いて製造された鍛造並の性能を持つMT-09純正アルミ鋳造ホイール。前モデルから前後合わせて700g(!)も軽量化されたとんでもないシロモノ。

軽量ホイールのメリットとデメリット

わざわざ高額な代金を払ってまで軽量ホイールに交換するカスタムが存在するのは、大枚はたいて交換するだけのメリットがあるから。
昔から良く言われているメリットとデメリットは下記が代表的なものです。

サスペンションが良く動くようになる

ホイールが軽くなる事はバネ下重量が軽くなる事を意味しています。
バネ下重量が軽くなるとサスペンション作動時に無駄な重さ(慣性重量)を引きずらないで済むので、サスペンションの動きが良くなります。

レースでは路面追従性向上によってグリップを引き出すためにバネ下を軽量化します。
公道ではグリップ向上は体感できませんが(別に限界時でなくてもグリップは向上しているので地味に転倒しにくくなっていますが体感はできないでしょう)、サスペンションの動きが良くなる事で乗り心地が良くなるのは体感できます。

バネが柔らかくなったのでもなくプリロードを減らしたのでもなく純粋にサスペンションの基本性能が向上するので、交換していないはずのサスペンションが高級サスペンションに交換したかのような感触になります。

路面の細かいギャップもキッチリとサスペンションが吸収してくれる様は、まるで高級サスペンションに交換したかのような感触。

ハンドリングが良くなる

一般に「ジャイロ効果」として知られていますが、ホイールのように高速回転する物体は、回転数が高いほど、重量が重いほど、その姿勢を保とうとする性質があります。
高速道路走行すると車体がグッと重くなり簡単に傾けられないと感じるはずですが、それはタイヤ(とホイール)が高速回転する事でジャイロ効果が高まり、車体が姿勢変更しにくくなるのが一因です。

バイクのホイールの場合、回転数は車速によって決まるので変更しようがありませんが、ホイールを軽くする事でジャイロ効果を減少させる事ができます。
ホイールはバイクの回転する部品としては最大の物なので、ここを軽量化するとジャイロ効果削減に非常に効果的です。
バンクさせようと思った時にスパッと倒せるし、ハンドルが正確に動きやすくなるので向きが変えやすくなり、コーナーリング性能が向上します。

倒し込みが軽く回頭性が良いので良く曲がる、高速域でも理想的なハンドリングになります。

加速が良くなる

重い物を動かそうとすると動かしにくく、一旦動き出すと今度は止めにくくなります。
ホイールでも全く同じ。
軽量化すると動かしやすくなるので加速が良くなります。

同時に止めやすくもなるので、ブレーキも良く効くようになります。
意外かもしれませんが加速時よりも減速時の方が効果を体感しやすい気がします。

動かしやすく止めやすいので、加速も減速も良くなる。

燃費が良くなる

さらに意外なところでは燃費も良くなります。
サーキットを全開走行しているとあまり気付きませんが、街乗りしていると軽量ホイールに交換しただけでかなり明確に燃費向上しているのが実感できます。

近年は大型輸送トラックで昔ながらの鉄ホイールからアルミホールに交換している例がありますが、あれは趣味でやっているのではなく主に燃費向上を狙ってわざわざ交換しているのです。

実用性重視のトラックなのに高価なアルミホイールに交換するのは燃費向上のため。大型バスだとバネ下重量軽減で乗り心地向上効果も狙っていますが、貨物トラックのアルミホイール化は燃費削減効果がメイン。

デメリットは耐久性

一口に軽量ホイールと言っても様々な仕様があります。
素材ではマグネシウム、アルミ、カーボンが代表格ですが、アルミやマグネシウムでは製法の違いで鋳造(溶けた素材を型に流し込んで成形)と鍛造(素材の塊を巨大なプレス機で圧縮して成形)もあります。

純正ホイールで鍛造を採用している例は非常に少なく、大多数のホイールはアルミ鋳造製です。
カーボンホイールは更に稀で、非常に高価な特別限定モデルで採用される事がある程度。
マグネシウムホイールは少し採用例がありますが、マグネシウムと言ってもアフターパーツとして流通しているマグネシウムとは素材成分が全く異なり、期待するほど軽量ではありません。

ではなぜメーカーではアフターメーケット製のような軽量ホイールを純正採用しないのか?
その理由はズバリ「製品寿命」です。

何十年間も使用しても特に問題の起こらない純正アルミホイールに対して、軽量ホイールはある程度耐久性を妥協して軽量化を実現していると言えます。
逆に言えば、50年後も同じホイールでサーキットを全開走行する!とか、50年後も歩道との大きな段差なんか気にせず飛び降りたい!などと考えなければデメリットとしてカウントしなくて済むという話でもあります。

耐用年数を何年とするのか?衝撃はどこまで耐えられるようにするのか?この辺りの要求条件がメーカー純正ホイールは桁違いに厳しいので、アフターマーケット用ほど思い切った軽量化は出来ない宿命です。

高価なわりにあまり軽くならないような気が……

高額である事を除けば僅かなデメリットと引き換えに様々なメリットを得られる軽量ホイール。
しかし……、
カタログデータに書いてあるホイール重量を見ると、最新型のメーカー純正ホイールと比較して大して軽くなっているように思えない事があります。

例えば下記はリプレイス軽量ホイールの代表格であるマルケジーニのアルミ鍛造ホイール「M7RSジェネシ」ですが、メーカーによるとCBR1000RR (08-)用の前後セットで8.98kg、純正比-16%との事。
逆算すると純正ホイールは10.69kgとなり、その差は1.71kg。

この数字を見て「37万円以上もするのに1.7kgしか軽くならないの?」と思いませんか?

これは別にこのホイールに限った話ではなく、最新SS純正ホイールとリプレイス軽量ホイールの重量差は非常に僅か。
純正ホイールが非常に重かった昔であれば10kg近く軽くなる事すらあったのですが……。

確かに少し軽くなっているし、その少しが非常に大変な事はわかるのですが……、高額なわりには思ったほど……、大多数の方がそう思ったはず。

同じ重さでも全然違う部分がある

ここが今回のキモです。

同じような重さのホイールであっても、純正ホイールとリプレイスメント用の軽量ホイールでは決定的に違う部分があります。
それはホイール外周部の重さ!
具体的にはリム部分の重量!

純正ホイールも技術の進歩で軽くはなっていますが、やはり高価な素材や高額な製法を採用しているリプレイスホイールには勝てません。
ましてリプレイス用ホイールは僅かとはいえ全体でも純正ホイールより軽くなっているのですから、リム部分だけで比較すればかなりの違いになります。

いかにも軽そうなスポーク形状に目が行きがちですが、差が大きいのはリムの部分。

外周部が軽い事の意味

いくらリムが軽くても結局一緒に回るんだからやはり純正ホイールとの差はあまり無いような……そんな気がするかもしれません。
しかしそんな事はありません。

ホイール全体の重量差は僅かなのでバネ下が軽くなる効果は昔ほど期待できないのは本当でしょう。
けれど、リム部は回転しているホイールの一番外側で、ここが軽くなるのはジャイロ効果低減に一番効く部分なのです。

同じ重さ、同じ回転数であれば、小さな球体を回転させるより大きな円盤を回転させた方がジャイロ効果が大きくなります。
もっと言えば、同じ重さ、同じ回転数、同じ円盤径でも、中心が重い円盤と外周が重い円盤では、外周が重い円盤の方がジャイロ効果が大きくなります。
ジャイロ効果はバイクの安定性を生む要素の一つではありますが、過大な安定性のせい運動性は悪化します。
つまり、外周部分(リム部分)が軽い方がハンドリングが良くなるのです。

加減速向上も外周が軽い方が効果が出ます。
野球のバットを振った時、細い方を持つと振るのに力が要りますが太い方を持つと簡単に振れます、それと同じ。
全体では同じ重さでも軸(支点)から遠くにある物が軽い方が動かしやすい。
つまり、外周部分(リム部分)が軽い方が加減速が良くなるのです。

仮に同じ重さであっても小さな球体より大きな円盤の方がジャイロ効果が出やすい。

同じ重さでも重量が回転軸から離れるほどジャイロ効果が出てしまう。同じ径の円盤なら中心が重い円盤より外周が重い円盤の方がジャイロ効果が大きくなる。

同じ重さのバットでも遠くを軽くした方が振りやすい。つまり、ホイールでは外周を軽くした方が加減速しやすくなる。

持ってもわからないが回せばわかる

理屈では何となく解かるような気がしますが、ホントにそんなに差が出るものなのか?正直なところ実感が湧かないのが本音でしょう。
特にホイールを手に取ってみた事がある方なら「確かに軽いけど……そこまで差がある?」という印象で、実感しにくいものです。

ところが、ホイールを回転させるとその違いは誰でも体感する事ができます。

ホイールに通したシャフトを手で持ち、走行状態を再現するようにグルグル回した状態で左右にバンクするように傾けると……、なんと意図しない力が発生して左右にハンドルが切れるように向きが変わってしまいます。
(=ジャイロ効果、難しく言うとロールさせるとヨーが発生する)

この時、さっきまで同じような重さだと思っていた(外周の重い)純正ホイールと(外周の軽い)リプレイス用軽量ホイールの差が如実に表れます。
意図せず左右に向きを変えようとする力が、外周の重い純正ホイールの方が断然大きいのです。

高速走行中を再現するべく誰かに全力で回してもらったりすると、左右に切れる力の大きさの違いに驚くこと請け合いです。
手で回した程度の低い回転数ですら違うので、もっと高速回転する普通のライディングでは物凄い差になってしまいます。

回転させたホイールを傾けた(バンクさせた)時、左右に振れようとする力の強さが全然違う。図のグレーの矢印方向に軸を傾けた際に赤い矢印の向きに発生する力の強さが全然違うという事です。

効果を体感できるものなのか?

実はわりと簡単に体感できてしまいます。
特にフロント用はわかりやすく、ホイール交換しただけで魔法のようにスイスイと軽快に走れるようになります。

特に激重だった昔の純正ホイールから最新の軽量ホイールに交換すると、これが同じ車両か?!と思うほど軽快に動くようになります。
旧車カスタムで当たり前のようにホイール交換されるのは軽量化やタイヤの選択肢増加やルックス向上の狙いもありますが、ジャイロ効果低減の効果が抜群でハッキリ体感できるからという理由もあるのでしょう。

軽量ホイールの中でもマグネシウム系は経年と共に腐食するので(その代わり性能はダントツ)安易にオススメはできませんが、経年による腐食が原因で破損する心配の無いアルミ合金系のホイールは安心してオススメできます。
特に鍛造アルミ製のホイールは非常に高性能なので、愛車にもっと軽快感が欲しい人はぜひ導入を検討してみてください。
製品は非常に高価ですが、きっと満足するはずです。

最新のSSでも軽量ホイールの効果は十分体感可能。サーキットや高速道路であればなおさら。

旧車カスタムでは純正ホイールを流用するのも良いですが、軽量ホイールの予算が捻出できるな最新軽量ホイールに交換するのが断然オススメ。

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