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記念品には大満足したけれど…… 今から気になる来年以降の東京マラソン - asahi.com

前回、新型コロナウイルス禍でのエチケットとして「マスクを着けて」ランニングすることを紹介したが、中国からとんでもないニュースが飛び込んできた。マスクを着けて体育の1500m走などに参加した中学生3人が相次いで死亡したというものだ。このうち2人は医療用の高性能マスク「N95」を着用していたそうだ。詳しい死因は伝えられていないが、マスクによって呼吸が極端に制限され、低酸素状態になったことが死亡につながった可能性があるという。びっくりした

マラソンでは、あえて標高の高い低酸素環境下で練習をする「高地トレーニング」や、心肺機能を強化するために呼吸に負荷をかけるトレーニング用マスクを使った練習などがあるが、それは目的があってのことだ。そうではない場面では、N95のような密着度の強いマスクを着けて、1500m走のような激しい運動をすると、こうした事故が起こりうる。肝に銘じておきたい。マスクランはあくまでもゆっくり、息があがらない程度に抑えた方がよさそうだ。

記念品には大満足したけれど…… 今から気になる来年以降の東京マラソン

上海市の中学では体育の授業中はマスクを外し、互いに1m以上の距離を保ちながら運動している=2020年5月7日、上海、宮嶋加菜子撮影 (朝日新聞社)

ランニングやウォーキングの科学的研究と普及に努めるランニング学会が4月25日に「外出自粛要請時のランニング愛好者の皆様へのお願い」という提言を公表した。コロナ禍でのランニングを行う際の注意点をまとめたものだ。その中にも〈エチケットとして、マスクまたはフェースガード等の着用をお勧めします〉としながら、〈マスク等をしても息苦しくないぐらいのゆっくりとしたペースで走ることを心がけましょう〉と書いてある。

ランニング学会の提言内容はおおむね常識の範囲内だが、ひとつなるほどと思ったことがある。〈走る前に手を洗いましょう〉だ。〈走っている最中は、無意識のうちに手で顔を拭う行為などをしがちです。ウイルスのついた手が口や目に触れるおそれがありますので、走る前に手を洗うことが感染のリスクを減らします〉。これまでも屋外で走った後には手を洗っていたが、確かに走る前にも洗った方がよさそうだ。ランニングにおける「新しい生活様式」として覚えておきたい。

大満足! 東京マラソン2020の記念品

さて、話はガラリと変わって東京マラソン2020のその後についてである。

ご存じのとおり、今年の東京マラソンは一般参加者なしで開催された。筆者も2次抽選で当たっていたのでガッカリしたが、エントリーしていたランナーは再度エントリーフィーを払うことで来年の大会への出場権が得られることになった。今年の参加料は返金されないが、その代わりに4月中旬以降、記念品が送られることになっていた。それが、筆者の元にも届いたのだ。これがなかなかに盛りだくさんで、かなりうれしい。みなさんにも一部を写真で紹介したい。

まず、使わなかったナンバーカードと計測チップ、完走後にメダルとともに渡されるはずだった〈TOKYO MARATHON 2020〉と描かれたカラフルなランナーローブとオリジナル防寒ポンチョ(エントリー時に手荷物預けなしを選択した人のみ)、さらにスタート前の整列時に使える防寒用のアルミシート、2020大会公式プログラムにアサヒドライゼロの試供品などなど……。

記念品には大満足したけれど…… 今から気になる来年以降の東京マラソン

東京マラソンには過去7回参加しているが、以前はランナーローブや防寒ポンチョ、アルミシートはなかった。ネット上には1万6200円の参加費に対して「これだけかよ?」といった声も見られたが、筆者的には大満足だ。とくにアシックス製のランナーローブはなかなか立派なものだ。昨年までフィニッシャーズタオルだったが、今年からローブになったという。タオルはすでに各大会のものを何枚も持っているので、こっちの方がずっといい。

いずれにせよ、これは走れなかった2020年の思い出の一生もんだと思っていたが、世の中そうでもないようで、実はメルカリやヤフオクですでにかなり売りに出されていた(笑)。

記念品には大満足したけれど…… 今から気になる来年以降の東京マラソン

記念品には大満足したけれど…… 今から気になる来年以降の東京マラソン

そんな記念品の到着後、しばらくして「出走権利移行に関するご案内」のメールが来た。ここでの新情報は、今年エントリーしていたランナーは「東京マラソン2021」または「東京マラソン2022」のどちらかを選択できることになっている、ということだ。

なるほど、これはよく考えたと思う。もし、今年参加を予定していたランナーがそっくり来年に移行したら、東京マラソン2021の残りの参加枠はきわめて少数になってしまうところだった。それが2年にわたって分散されれば、あくまで机上の計算ではあるが、通常の半分の参加枠は確保されることになる。今年、ハズレた人はどうせ来年は今年の参加者が大量に移行してくるので「絶対に当たらない」と思っていたかもしれない。だが、意外とそうでもないかもしれないのだ。

ただひとつ心配なのは、来年(2021年)は大丈夫なのか? ということだ。実は、これはかなり不確定と言ってもいい。前回、11月開催のつくばマラソン(茨城県)が早々に中止を決めた話を書いた。約7カ月前の決断だった。東京マラソンは参加者数ではつくばの倍以上だ。世界6大マラソン(Abbott World Marathon Majors=WMM)のひとつでもあり、本来なら世界中からランナーが集まることになる。どんなに遅くても今年の秋くらいまでには判断しなければならないだろう。それまでにいまの状況がどこまで改善されているのか、収束のメドが立っているのか、かなり微妙だ。

私ごとで恐縮だが、筆者は来年還暦を迎える。なので、なんとしても還暦記念に東京マラソン2021を走りたいところである。前出の東京マラソン財団からのメールには、来年か再来年かの選択は〈5月中旬〉に改めてメールが来ることになっている。だが、5月14日現在、まだ来ていない。例年なら、6月には大会要項が発表され、7月から先行エントリーが、8月から一般エントリーが始まる。はたして今年はどうなるのか……。

東京マラソン財団に聞いてみると、「開催を前提に準備を進めております。エントリー時期や大会要項の発表時期については、周辺状況を見ながら検討中です」(広報部)とのことだった。

先行き不透明な中で準備を進めるというのは非常に大変だと思う。大会関係者の苦労はいかばかりか。いずれにせよ、コロナ禍がどうなるかだ。個人的には、かなりドキドキしている。

(トップ画像:東京マラソン2020記念品=写真は全て筆者提供)

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PROFILE

山口一臣

1961年東京生まれ。ゴルフダイジェスト社を経て89年に朝日新聞社入社。週刊誌歴3誌27年。2005年11月から11年3月まで『週刊朝日』編集長。この間、テレビやラジオのコメンテーターなども務める。16年11月30日に朝日新聞社を退社。株式会社POWER NEWSを設立し、代表取締役。2010年のJALホノルルマラソン以来、フルマラソン20回完走! 自己ベストは3時間41分19秒(ネット)。

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