「五輪で走る」夢かなえ引退 リオ・マラソン代表 田中智美:スポーツ(TOKYO Web) - 東京新聞

全日本実業団ハーフマラソンのレース後、記念撮影する第一生命グループの（左から）田中智美、山下佐知子監督、出水田真紀＝２月９日

　すがすがしい表情でラストランのゴールテープを切った。２０１６年リオデジャネイロ五輪女子マラソン代表で３２歳の田中智美（第一生命グループ）が、２月の全日本実業団ハーフマラソン（山口市）で現役を引退した。レース後に所属先の山下佐知子監督から花束を贈られると「監督に育ててもらった。五輪に出場する夢がかなった」と声を震わせた。

　千葉県出身。千葉英和高から玉川大に進学。学生時代は突出した選手ではなかったが、将来性を買われて第一生命入りした。性格は温和でも、内には熱い闘志を秘めていた。大学時代に膝を故障して歩けなくなった時に「脚が使えないなら」とリハビリで自転車型のトレーニングマシンのペダルを手でこいだほど。山下監督の指導で頭角を現していった。

　リオ五輪につながる１５年の世界選手権は、選考会を兼ねた大会で優勝したものの、走りが消極的だったとの評価で代表から漏れた。悔しさを糧に、五輪代表最終選考レースだった１６年３月の名古屋ウィメンズで日本勢トップの２位となって五輪切符をつかんだ。

　五輪では中盤まで先頭集団にいたが、粘りきれずに１９位。「悔しい気持ちでいっぱいだけど、最高の４２・１９５キロだった」と、レース後に笑顔を見せた。昨年、東京五輪代表選考会の出場権を逃し、引退を決意。引き続き第一生命グループに所属し、今後は協賛するマラソン大会でランニング教室の講師を担当するという。ファンに「皆さんの応援のパワーで頑張ることができた」と感謝し、選手生活に幕を下ろした。

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