南米コロンビアの大統領が、財宝船「サンホセ号」の引き揚げを画策している。そんなニュースが報じられたことで、「世界一高価」と言われる沈没船が新たに注目されている。
サンホセ号は、62門の大砲を搭載したスペインの大型帆船で、英国の軍艦との交戦により、1708年にコロンビアの沖約16キロの場所に沈没した。この船に最大200トンもの金、銀、宝石の原石が積まれていたことには異論がない。
現在の金額で、じつに数十億ドル(数千億円)相当に上る可能性がある財宝だ。
サンホセ号は18隻の船隊を率いる旗艦だった。新世界で見つかった財宝を積んだ船団は、当時スペインと同盟関係にあったフランスに向かっていた。
しかし、その途中で5隻の英国艦隊と遭遇。スペイン継承戦争が行われていたこの時期、英国はスペインおよびフランスと敵対関係にあった。
1時間以上にわたる戦闘の末、サンホセ号は搭載されていた火薬が爆発して沈没した。捕らえられた1隻を除き、スペイン艦隊の大半はカルタヘナの港に逃げ込んだ。
現在、コロンビア政府は、サンホセ号の残骸とすべての積載物を同国が所有すると主張している。ファン・ダビド・コレア文化相が2023年11月に米ブルームバーグ通信に明かした内容によると、グスタボ・ペトロ大統領は2026年の任期満了までに引き揚げを行いたいと考えているという。
コレア氏は、「これはペトロ政権の優先事項のひとつです。大統領は、作業のペースを上げるよう指示しました」と述べている。
ライバルの主張は
コロンビアがサンホセ号の残骸を発見したと発表したのは、2015年のことだ。一方、米国のサルベージ(引き揚げ)会社は1982年にこの船を見つけたと主張していた。ただし、コロンビアは、米国の会社とは異なる場所で自分たちが見つけたとしている。(参考記事:「サンホセ号の最大級の財宝めぐり三者が名乗り」)
それを受けて、この会社は、回収した財宝を半分ずつ分け合うという合意をコロンビア政府が反故にしようとしているとして、同政府に対し、推定価値の200億ドル(約3兆円)の半分にあたる100億ドルの損害賠償を請求する訴訟に踏み切った。
会社側は、新しい発見地点は1982年に特定された場所に近いと主張している。研究者のダニエル・デ・ナルバエス氏によると、現在、この件は調停が進められており、2023年12月に最初の話し合いがコロンビアの首都ボゴタで行われる予定だという。
この件は、コロンビア政府がサンホセ号を巡って抱える中で最大級の問題かもしれない。ここで下される司法判断は、たとえ財宝が引き揚げられなくても、効力をもつことになるからだ。
「私が大統領なら、じっくりと交渉して合意するでしょうね」。デ・ナルバエス氏はそうコメントする。
ボゴタ在住のデ・ナルバエス氏は、鉱山技術者でもあり、非営利団体「海洋探検家協会」の理事を務めている。氏は、金貨など沈没船の遺物の売却を認め、沈没船の一部を商品化すべきだと提唱している。
氏によると、このような取り決めがあれば、コロンビア沖に沈んでいる多くの古い船を守れるようになるという。何の取り決めもなければ、発見者は沈没船を政府に知らせることなく、財宝を自分の懐に入れてしまうことになるからだ。
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