今回のレポートでは、Blackmagic DesignよりURSA Broadcastカメラシリーズ用に発売された「Blackmagic URSA Broadcast ENG Kit」を紹介したい。
本製品はURSA Broadcast G2など、ショルダーパッド(URSA Mini Shoulder Pad)が付属されるカメラ用で、カメラ上部の通風孔から雨やホコリの侵入をふせぐボディアーマー、拡張性の高いハンドル、マイクホルダーと照明マウント、そして汎用性のあるサイドパネルクレードルのセットで、URSA Broadcast G2をまさにENGカメラとして使いやすく昇華させてくれるキットである。しかも、税込39,980円という低価格なのはかなり戦略的な設定ではなかろうか?
そもそも、URSA Broadcast G2はハンドルもあり、ショルダーパッドもあり、単品でBlackmagic URSA ViewfinderとBlackmagic URSA Mini Mic Mountを購入すればほぼENGスタイルになる。
では、なにゆえ新たにキットが開発されたのか?
これも同社が大切にしている"ユーザーからの意見"が反映されたのではないか、と推察される。
ENGスタイルはシネマスタイルよりももっとシンプルであることを求められる。もちろん、ENGの意味する所がすべてNEWS取材のような現場、というわけではないことは明白ではあるが、気軽に確実に、そして安価に、というのはENGの世界では求められる所であろう。
例えば別売りになっているBlackmagic URSA Mini Mic Mountでは、その構造から本テスト製品のBlackmagic URSA Broadcast ENG Kitに含まれるマイクホルダーと比べ緩衝性能に優れる構造になっていると思われるが、価格は単体で税込21,980円する。性能からすれば安価なのかもしれないが、カメラ本体が税込678,800円であることから価格対比では3%ほど。
「そこまでノイズマイクの保持にはこだわらない」というユーザーには、オーバースペックで高価なイメージがある。レガシーなENGカメラが約400万と仮定すると、同じ価格比3%であるならば、マイクホルダーが12万…きっと購入を考えさせられるだろう。
もちろん言うまでもないが、キット付属のマイクホルダーが保持性能・緩衝性能に不足という感じは一切ない。他メーカーでもカメラのマイクホルダーは大体この形なのだ。
下写真のように長さ250mm、重さ105gのソニーECM-680Sステレオマイクもしっかりとグリップしている。その上、照明用のマウントポイント、雨やホコリからカメラを守るボディアーマー、3/8インチのマウントポイントがたくさんある便利で堅牢なハンドル、サイドにスマートフォンやSSD、ワイヤレスレシーバーなどをベルクロで固定できる汎用性の高いホルダまで付いて、前述のマイクホルダーの2倍しない価格なのである。
きっとURSA Broadcast G2を購入する方はすべてこのキットを購入するのではないか?と思えるほどのコストパフォーマンスである。
キットはこれまた豪華な箱に丁寧に納められて手元に届く。
1つ1つの作りが良く、組み立てるまでがまた楽しい時間になる。リグもそうであるが、自分が1つ1つ組み立てていくことで機材に対する愛着も一入といった所だろう。なお、組み立てには3/16インチと2mmの六角レンチ、T10のトルクスが必要であるが、セットにはないので別途準備を要する。
組み立ての際はまず付属のハンドルを外し、ボディアーマーを載せ、その上からキットのハンドルをつける。
その際事前に元々カメラについていたVFスライド用プレートを新しいハンドル下部に固定しておく必要がある。これでVFをスライドして付けられるようになる。
その後VFスライド用プレートの上に沿うように取り付けるプレートがあり、それにマイクホルダーと照明マウントが付くのだが、マイクホルダーも裏面から固定になるので事前に留めておく必要がある。
その後、必要に応じサイドクレードルを固定して完成である。
VFの上に載せるプレートはかなりしっかりした造りで、VF自体の剛性を高め、またVFをぶつけた際の保護の役割も担うと思われる。デザインも調和が取れていてオプション品を載せている感がほとんどないのも良い。
完成した姿はまさにENGとして扱いやすく、機材のグレードが上がった印象を受ける。
担いでみた印象は、レンズの重量にもよるがショルダーパッドの位置との兼ね合いでかなり安定して担げるようになる。レンズ重量が2.55kgもあるレンズ(下写真・FUJINON UA22×8BERD)ではわずかに前重(まえおも)になるが、一般的な最近の軽量レンズであれば、ちょうどいいバランスになるだろう。
小型LEDライトを付け、ガンマイクを付けた状態でもお互いに干渉することなく、取り扱いにくさが生まれることもない、見事なレイアウトであった。
三脚に載せるようなシチュエーションであっても、カメラ標準添付のハンドルよりも3/8インチネジのポイントがたくさん用意されているために、アクセサリーの取り付け自由度が高く、好みのスタイルを自分で作っていけるのが良いと感じた。
なにより重量のあるカメラを三脚に載せるのに、この大型で手触りもしっくり来るハンドルは持つ者に安心感を提供してくれる。
気になる点がないわけではない。
マイクホルダーにマイクを固定する際にネジを全部緩めて外さないとマイクをセットできない。途中まで緩めて差し込めばいい、ということも言えるが、その場合ケーブルを抜かないといけない。"なにかしないとこれができない"は現場ではちょっとしたストレスになる。そのためにもぜひ、他メーカーのマイクホルダーを参考にネジ込み量も少なく、取り外しも簡単にできる構造になれば、なお素晴らしいと言える。
シネマカメラをENGに使うのにはなかなか制約も多く、これまでは運用者の"我慢"で成り立っていたと思われるが、このキットを使うとまさにENGカメラという仕立てになる。そのためアクセサリーとして地味な印象はあるかもしれないが、その低価格さからも、URSA Broadcastシリーズを持つ全ての方にオススメできる商品だと結論づけて、本レポートを終了したい。
中川賢司|プロフィール
1975年生まれ。幼少時にベータカムを見てから業務用機材に魅了され、小学生のくせにビデオα誌を読んでいた変態。今は中古中継車を販売する変わり者。業績に見合わない投資をすることで有名。結局ビデオ機材変態。
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