日本の食品輸出の王者だったホタテは、中国の輸入停止で一気に危機的状況となった。過去10年ほどで海の中の個体数を増やして増産に努めてきたが、売り先に困る事態に。このままだと、2024年は一段と需給バランスが崩れてしまう。
■連載予定 ※内容や順番は予告なく変更する場合があります
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(3)ホタテ輸出の悲劇、深刻化は2024年 「国民1人5粒」は流通に難題(今回)
(4)「ビール離れ」を猛省、キリン役員が懸ける2割高価なクラフトビール
(5)物流2024年問題、農産物に大打撃 神明とNTT、デジタルツイン市場構築へ
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「本当にホタテ輸出の危機が起きるのは2024年だ」
北海道別海町の水産会社、丸イ佐藤海産の伊勢健社長はこう警戒する。同社の年商は73億円で道内の水産加工業でトップ20に入っており、主力商品であるホタテの扱いは年間約1万トンある。販売先の7割が海外だから、輸出動向には敏感だ。

中国が8月に輸入を停止した時点で、北海道のホタテ漁はピークを過ぎていた。伊勢氏は2024年の深刻化を危惧する
福島第1原子力発電所の処理水を海に放出したことで、中国は23年8月24日から、日本の水産物輸入を停止した。特に打撃の大きいホタテは、日本の食品輸出戦略で主役だった。農林水産省によると、22年のホタテ輸出(調製品を除く)は910億円で、全ての輸出食品の中で首位。うち、中国向けが51%を占めていた。

最も影響を受けるのは、国内ホタテ生産(養殖を含む)の8割を占める北海道だ。標準的な3Sサイズの卸値は1年前と比べ、約3割安の1kg2600円程度になった。9月以降、テレビなどで倉庫に積み上がる冷凍品の様子がよく映し出されたが、今年はまだ序の口だという。中国の輸入停止が続くなら、漁の最盛期と重なり需給が最もバランスを崩すのは来年に入ってからだ。
北海道庁によると、年間44万トン前後のホタテ漁獲量のうち6割強を1~7月の収穫が占めている。中国が8月下旬に禁輸を始めた時点では、日本のホタテ漁は年間の約7割に達し、既に多くが輸出済みだった。
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