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氷上の再会へ、ひたむき 92歳の現役フィギュアスケーター 浅野千江子 ... - 河北新報オンライン

 昨夏の甲子園で東北勢初優勝を果たした仙台育英高の活躍は、宮城県民を歓喜させた。制約の多いコロナ下の快挙。監督の言葉も人々の心に刻まれた。「青春って、すごく密」。世代を超えて目標を追い、心に熱い思いを持ち続ける人たちに迫った。今が青春。今こそ青春-。(11回続き)

武者さん(右)と練習に励む浅野さん=仙台市泉区のアイスリンク仙台

 競技歴83年を誇る伝説のフィギュアスケーターが仙台市にいる。浅野千江子さん、92歳。小学生の時以来、人生はスケートと共にあった。今も泉区のアイスリンク仙台で練習に励み、大会にも挑む。

 氷上に立つと、優しいおばあちゃんの表情は一変した。伸びた背筋、鋭いまなざし、小気味よいステップ…。華麗な舞姫になった。

 「何千回、何万回滑ってもやっぱり楽しい。スケートは人生を華やかにしてくれる」。「今が青春」とばかりに声を弾ませた。

 生まれは若林区荒町。軍人だった父の徴兵で9歳の時、家族で満州に渡った。スケートとの出合いは小学校の体育の授業。高価なスケート靴は当時買ってもらえず、友達の靴を借りて氷の上を駆けた。

 16歳から現地の病院に勤め、患者の手当てのサポートや食事作りを担った。「苦しいことが多かった戦時下、スケートが唯一の娯楽だった」と振り返る。

 現地で日本人男性と結婚し、一女に恵まれた。戦後戻った仙台では、幼い娘を近所の人に預けては日本フィギュアスケート発祥の地とされる五色沼(青葉区川内)へ。夫の転勤で東京で暮らした際も、片道2時間かけて神奈川県のリンクに通った。

 拠点をアイスリンク仙台に定めてからは20年になる。今も週2回通い、1回30分のレッスンを受ける。指導役はペアも組むインストラクター武者愛さん。二人三脚で数々の大会に出場し、好成績を収めてきた。

20年ほど前の大会で演技する浅野さん

 プロスケーター羽生結弦さん(28)=仙台市出身=との思い出もある。当時小学生だった羽生さんに手作りのお菓子を渡して激励し、同じリンクを滑った。最近は対面がかなわずにいるが、テレビ越しに声援を送り続ける。

 「自分が熱中して取り組めることを見つけ、目標に向かって諦めず、ひたむきに続けることが大切」。羽生さんの姿は自分の目指す生き方に通じるという。

 夫に先立たれて現在は1人暮らし。93回目の誕生日も2月に迫る。体調を気遣う親族に促され、4月には娘の住む東京に移る。

 それでもスケートは諦めない。週1回、新幹線で仙台に通う。「年齢を言い訳にしたくない。私の人生はスケートそのもの。おかげで大きな病気もせずに健康でいられた」と感謝する。

 舞姫には夢がある。「1年でも長くスケートを続けること。そして、かなわないかもしれないけど、羽生君と再びリンクに立つこと」。願いを胸に、また氷上へと歩みを進めた。(報道部・池田旭)

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