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「それってセンサーを使ってデータをとるだけのシステムですよね。そんなにお金をかけたのですか。1万円くらいの出費で、効果の有無を事前に検証できたのに」
IoT(インターネット・オブ・シングズ)という言葉は登場した当時ほど騒がれてはいないが消えてはいない。様々な現場の機器やセンサーなどからデータを集め、分析して何かに生かす。まっとうなアイデアであり、呼び名はともかく検討に値する。
だが、IoTの後に出てきたインダストリー4.0や製造DX(デジタルトランスフォーメーション)といった掛け声に反応してしまい、目的や得られる効果が曖昧なまま、高価なIoTシステムを導入してしまった企業もある。
実はIoTシステムが有効か否かは数千円、多くても数万円をかければ検証できてしまう。この程度の出費でIoTシステムを内製できる時代になっているからだ。大金を投じた失敗の傍らで、「身の丈IoT」「DIY IoT」と呼べる実例が増えている。
少し古い話だが2018年5月、本連載を担当しているNPO法人、IT勉強宴会が「IoTの『今』を知ろう<第63回IT勉強宴会in新大阪>」を開催した。そこでインターネット機器を使うと「FA(ファクトリーオートメーション)と比べてざっくり10分の1の費用でIoTができる」という説明があった。それから4年、今ではさらに10分の1の費用で済むだろう。
筆者はPCや電子機器を製造している会社でシステムエンジニアをしており、自社はもちろん、他社の工場を見る機会が多い。IoTデバイスを含めた、組み込みシステム向けのハードウエアやソフトウエアを目にしたり、試したりすることもしばしばある。
こうした経験をもとに、本稿ではハードウエアや電子回路、組み込みシステムのプログラミングになじみのない方でも、手にしたその日のうちに使いこなせる、極めてローコストのローコードIoT開発デバイスを紹介する。IoTシステムを本格導入する前の概念検証(PoC)、内製化への取り組みへの第一歩に役立つはずだ。
自由に機能をカスタマイズできるIoTガジェット
M5Stack(エムファイブスタック)というデバイスがある。WiFiないしBluetoothで通信するIoTシステムを予備知識がなくても、すぐに実現できる。このデバイスは中国の深センに拠点を置くスタートアップが開発・販売している。社名もM5Stackである。
M5Stackは2017年に登場し、2018年ごろから日本国内でも普及し始めた。大学などや企業がIoT研修教材として採用する例が増えている。海外では大手製造業が工場内の空気品質測定システムに使ったり、大手流通業が商品棚のモニタリングシステムに採用したりした例がある。
M5Stack はESP32というマイコンと、カラー液晶ディスプレー、操作ボタン、スピーカー、microSDカードスロットといった周辺部品を共に約5cm角のケースに収めている。ESP32は中国・上海のEspressif Systems(エスプレッシフ・システムズ)がつくっており、WiFi/Bluetooth機能をあらかじめ搭載している。
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