連載:どうなる? これからの日本の不動産
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都心の新築マンション価格高騰がとどまるところを知らない現在。しかし、戸建て市場に目を向けてみると、マンション市場とはまったく異なる「値下がり」の動きがあるのをご存じだろうか。戸建てとマンション、両者でこれほどの差が生じるのはなぜか。戸建て市場を取り巻く知られざる現状を解説する。
不動産ジャーナリスト・榊マンション市場研究所主宰。 1962年京都市生まれ。同志社大学法学部、慶應義塾大学文学部卒業。 主に首都圏のマンション市場に関する様々な分析や情報を発信。 東京23内、川崎市、大阪市等の新築マンションの資産価値評価を 有料レポートとしてエンドユーザー向けに提供。 その他経済誌、週刊誌、新聞等にマンション市場に関するコメント掲載多数。 主な著書に「2025年東京不動産大暴落(イースト新書)※現在8刷」、 「マンション格差(講談社現代新書)※現在5刷」、 「マンションは日本人を幸せにするか(集英社新書)※増刷」等。 「たけしのテレビタックル」「羽鳥慎一モーニングショー」 などテレビ、ラジオの出演多数。 早稲田大学オープンカレッジ講師。
戸建てとマンションの「違いすぎる」景況感
「最近、戸建て住宅の価格は下がっているのですよ」先日、筆者の事務所にやってきた大手不動産会社の事業用地仕入れ担当者はそう言っていた。ただその時の話題の中心は、新築マンションの価格がどれだけ上がっているかということだった。
彼によると、新築マンションの坪単価は、足立区や葛飾区でも駅近は坪単価300万円が基本。江東区の東西線沿線は坪単価400万円超だという。
その担当者の不動産業界歴は20年弱。筆者は約37年。そんな筆者の感覚からして、今の首都圏マンション市場の価格高騰は異様である。彼に尋ねた。
「なんだかもう、めちゃくちゃですね。それで売れるのですか?」
「ええまあ。売れるから我々も土地を買うのです」
そんな会話をしていた中で、ふと思い出したことがあって彼に聞いてみた。
「私の自宅の近くに御社の店舗がありますけど、周辺エリアで売り出している戸建てのグロス(販売価格)は変わらないじゃないですか。ずっと4,000万円台後半のままですけど?」
すると、意外な答えが返ってきた。
「戸建ては価格が上がっていません。最近はちょっと下がり気味ですね」
なんと、彼らの主力商品ともいえるミニ戸建ての販売価格は下降気味だというのである。
「だから仕入れ値(土地の購入価格)もちょっと下げているのですよ」と彼は言う。
つまり、100平方メートル台から300平方メートル程度までの戸建て用地の仕入れ値を押さえているのだという。高く買ってしまうと販売価格も高くせざるを得ない。そうなると途端に売れなくなるのが現状だそうだ。
都心エリアの新築マンション価格は今も上がり続けており、それでもある程度は売れている。しかし、一戸建てはあまり価格が上がっていない。この差は一体どこからくるのだろうか。
高いと「売れない」のが戸建て
戸建て住宅について、近県で戸建て開発を行っている不動産会社の経営者はこんなことを言っていた。「うちのエリアでは戸建ての土地が50坪あることが基本です。そこに戸建てを建てて売ると、販売額は7,000万円になってしまうのですよ」
「それで売れるのですか?」と筆者が聞くと、「それが時々間違いみたいに売れたりするのですが‥」と話していた。
ただ、あくまで売れるケースの方が珍しく、基本は売れない。だから、今後近郊エリアでは年間100棟程度を開発分譲しているような中小デベロッパーの倒産が相次ぐだろう、とその社長は予測していた。「売れる上限は5,000万円‥せいぜいが6,000万円ですから、7,000万円では無理です」とも。
その郊外エリアは実需物件しか売れない。新築マンションの価格上限は4,000万円台。これが5,000万円を超えると販売がしんどいそう。
郊外エリアでの戸建ては広い土地が求められる。ただしグロス価格が需要層の支払い限度を超えてしまうと、やはり売れない。今後は強烈な下落圧力が発生するはずだ。
一方、都心エリアの新築マンションは、少々高くても売れてしまう。なぜか? 高くても買う人がいるからである。では、一体誰が買っているのだろうか。 【次ページ】市場でのマンションと戸建ての「決定的」な差とは?
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