米国のマイク・クレイポ上院議員(共和党、アイダホ州)ほか28人の上院議員は10月19日、環境保護庁(EPA)が4月12日に発表した温室効果ガス(GHG)と大気汚染物質の排出基準に関する規制案「2027年モデル以降のライトビークル(LDV、注)と中型車に対する複数の汚染物質排出基準」(GHG・排ガス規制案、2023年4月21日記事参照)の撤廃を求める「自動車小売り販売選択(CARS)」法案(S3094)を議会に提出した。
CARS法案で議員団は、バイデン政権の過激な環境政策や行き過ぎた行政に対して、(1)GHG・排ガス規制案の最終決定と施行の禁止、(2)排ガス規制によるエンジンタイプに基づく新車購入制限の禁止をEPAに求めた。これら主張の背景には、厳しい基準値はガソリン車の販売を制限し、その結果、人々の車両の選択肢を狭め、高価な電気自動車(EV)の購入を強制するものとの見方がある。同法案には共和党議員28人に加え、「厳しい環境規制による車両の価格高騰で中国への依存が高まる」と主張する民主党のジョー・マンチン議員(ウェストバージニア州)が提出者に加わった。
EPAが発表したGHG・排ガス規制案には、LDVの二酸化炭素(CO2)の排出基準として、最終年に当たる2032年モデルで、1マイル(約1.6キロ)当たり82グラム(82gpm)と設定している。これは2026年モデル比56%減と厳しい基準値になっている。EPAは、新基準値の順守により、バッテリー式電気自動車(BEV)の普及率が67%に達すると試算しているが、自動車メーカーや自動車イノベーション協会などの業界団体は「生産者、労働者、消費者のニーズを総合的に満たす明確な道筋が存在しない」などと見直しを求めている(2023年7月13日記事参照)。
民主党が多数を占める上院で同法案が可決される可能性は極めて不透明だが、EPAでの最終規則に向けた調整に影響を与える可能性は否定できない。
(注)乗用車と小型トラック。
(大原典子)
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