お家できれいな写真をプリントしたい人へ。
スマホがカメラ代わりになり、写真といえば何らかのディスプレイ上で見ることが圧倒的に多くなった今でも、プリントアウトした写真の良さは残ってます。プロのフォトグラファーなら、仕事で撮った結婚式写真をプリントするところまでが商品になってるかもしれないし、自分の気に入った作品をフレームに入れて飾りたいこともあるかもしれません。
写真をプリントする場合、プロ向けのプリントショップもあれば、もっと気軽に使えるネットプリントとかセルフプリント機もあります。でも自宅できれいな写真をプリントできる環境があれば、いつでも気軽に使えて便利ですよね。そんなわけで、予算とか目的に合わせたフォトプリンターの選び方と、オススメできるプリンターを以下にご紹介していきますね。
何を基準に選ぶべき?
どんな機械でもそうですが、ベストなフォトプリンターとは、自分の個別のニーズに答えてくれるプリンターであるべきです。自分の作品をプリントしたいプロのフォトグラファーには、超高画質な写真をいろんなサイズでプリントできるタイプがいいでしょう。単に家族とか友だちが壁に飾れるような写真をプリントしたいだけなら、そこまで最高クオリティじゃなくても大丈夫そうです。でも全般に共通して、意識すべきポイントもいくつかあります。
色のクオリティや再現性は、利用目的に関係なく重要です。よくある万能オフィスプリンターはで4種類のインク(ブラック、シアン、イエロー、マゼンタ)を使ってますが、プロレベルのフォトプリンターのインクは10〜12種類あります。それによって色がもっと正確に再現できて、プリントサイズが大きくても耐える画質にできるんですね。
プロのフォトグラファーが顧客向けに写真のプリント提供を始めようとするなら、カラー・黒・白が各1カートリッジみたいなチープなプリンターは使いませんよね。とはいえ、手頃なプリンターでも驚くほど色再現性の高いものもあります。なので個人的に使うためだけのプリンターであっても、価格のためにクオリティを犠牲にする必要はありません。
プリンターの物理的なサイズも大事です。デスクに無理なく置けるのかとか、作業部屋に置いてもゴチャゴチャにならないかとか。使う紙のサイズは? ポータブルなものだとしたら、どれくらい持ち運びしやすいのか? 自宅プリンターを選ぶときは、作業スペースがどうなるかを考えましょう。
もちろん価格も大きな要素です。プロレベルのものだと、プリンターそのものもインクも初期費用が高いです。しかも、使うインクの量も多いし、一般的な家庭用プリンターよりもガンガン写真をプリントすることでしょう。なので、長期的にどれくらいコストがかかるのか、それは自分にとって見合う価値があるのかの見極めが必要です。もしコストに見合わないと思ったら、一段安い選択肢を選ぶのが吉です。
写真プリント用紙もコストがかさみます。最高のプリントにしたいなら、プロ用のフォトプリンターとインクを、高品質なアーカイブ向け用紙と組み合わせなきゃいけません。EpsonとCanonは自前の用紙を作ってるし、他のメーカーのも含めて詳細はこちらで見られます。
あとはプリンターの速度は、プリントできる枚数に直接効いてくるので、仕事で使うなら重視したほうがいいですね。この記事の中で一番ハイレベルなプリンターはきれいな写真を印刷するまで1分もかかりませんが、そのスピードは価格に反映されてます。
より高価なフォトプリンターだと、タッチスクリーンが大きいとか、Wi-Fi接続、インクのつまり防止機能とかもあります。気になるプリンターがあったら、ここまでに書いたような条件で比較しつつ、お手頃なものを買うときは必要な機能が抜けてないかチェックしてみてください。
「ベスト」ってどう決めたの?
世の中にある全プリンターをテストするのは無理ですが、Web上の専門家の意見やレビュー、それぞれのプリンターが実際どんなものかがわかるようなリアルなテスト結果を隅々まで探すことはできます。なので、この記事を書くにあたってはまさにそれをしました。
さらにここでは、筆者のフォトグラファーとしての実体験と知識を、プロが写真プリントに必要とするものを考えるために使ってます。業界内でハイレベルな仕事をしている多くのプロは、写真プリントするときはプロ用のプリントショップと組んでいます。たとえばSean Tucker氏はイギリスのGenesis Imagingとパートナーシップを組んで、自分の気に行った写真の大きなプリントを作っています。Ted Forbes氏は、米アリゾナ州にあるHidden Lightスタジオでプラチナ・パラジウムのプリントをしています。YouTubeでトップの写真チャンネルを運営するPeter McKinnon氏は、NFTのトレンドに乗らず、紙のプリントを選びました。そんなわけでお金を出せるなら、近くにあるプリントショップと話してみるのが非常にオススメです。でもまだ初心者の人、予算的に余裕のない人には、プロレベルの家庭用フォトプリンターはその代替になりえます。
この記事では、写真を仕事にしてない人が写真(またはリーフレットとか、普通の書類でも)をプリントするのに合った選択肢もピックアップしてます。が、まずはプロレベルのものから行きましょう。
ベストなプロ用フォトプリンター
最初にご紹介するのはこの記事では一番高価な、プロ用のフォトプリンターです。高画質でギャラリーに飾れるような写真をプリントアウトするためだけの機械です。文書印刷とかスキャンといったオプションはなくて、とにかくきれいな写真をプリントすることに特化してるんです。オプションで、のぼりの印刷ができるものもあります。なので、写真印刷に使いまくって元が取れるようなプロのフォトグラファーか、またはお金に糸目を付けず写真印刷にこだわりたい人にぴったりです。
・価格:1,999.95ドル(約28万3000円)
・良いところ:素晴らしい画質、プリントが高速、プロフォトグラファーにはオススメ
・良くないところ:高価、プロ用インクと用紙も高コスト
Epson SureColor P900はプログレードのプリンターで、10色のインクを使い、長期間クオリティを維持する高画質なプリントを作りだします。別売りのアダプターを取り付ければ、幅17インチ(約43cm)・長さ11フィート(約3.35m)までののぼりもプリントできます。美しい画像をプリントできるだけじゃなく、スピードもあり、17 x 22インチ(約43 x 56cm)のファインアートプリントでも3分以下です。その性能のわりに、本体サイズは比較的小さいのもナイス。印刷設定は液晶画面で調整できます。
他のハイエンドなプリンターと違い、Epson SureColor P900はインクのボトルじゃなくてインクカートリッジを使ってます。色のカートリッジは別々に買う必要があるので費用がかさみます(コンボパックで2-3個まとめ買いは可能)。Epsonのエコタンク対応プリンターだと、インクにもコンボパックがあるし、サードパーティのものもあるので、初期費用が高くてもその分多少セーブできるんですけどね。でもEpsonはインクに関しては十分効率が良いので、ガンガン大量に印刷するのでなければ、インクカートリッジ交換はそれほど頻繁じゃないはずです。
Epson SureColor P900は、結婚式とか記念写真とかポートレートなどなどを撮るプロフォトグラファーで、毎回プリントショップに出したくない、って人には良い選択肢です。
(日本国内では販売されておらず、海外通販で購入する形になるようです)
ベストその2:Canon imagePROGRAF PRO-1000
・価格:1,999.99ドル(約28万3000円)
・良いところ:長持ちするプロ画質のプリント、Wi-Fi接続でファイル転送が簡単、インクのつまり防止機能があるのでしばらく放置してても大丈夫。
・良くないところ:高価、インクの減りが激しい。
CanonのimagePROGRAF PRO-1000もプログレードの家庭用フォトプリンターとしてオススメできます。12色のインクで美しい写真をプリントでき、結婚式や婚約記念の写真を撮りたいクライアントに喜ばれることでしょう。ギャラリーに飾っても見栄えがします。
Canon imagePROGRAF PRO-1000で使うプロ向けインクは、それに見合う用紙と組み合わせたときにベストな画質を実現できます。またインクの減りが激しいので、そっちのコストもかさみがちです。なので、本体・用紙・インクすべてにおいて高コストになることを、買う前に理解しておいたほうがいいですね。
Pro-1000はWi-Fi越しに他のデバイスと連携できるので、たとえば最近のデジタル一眼レフカメラやスマホから写真のデータを送ったりもできます。インクのつまり防止機能が内蔵されてて、しばらく使わない場合にはありがたいです。
上に紹介したEpsonのものと同じく、Canon imagePROGRAF PRO-1000も高価ですが、プロのフォトグラファーなら十分価値を引き出せます。趣味で写真を撮ってたまにプリントするくらいの人には、この後で紹介するタイプのプリンターのほうをオススメしたいです。
ベストなミッドレンジ:Canon PIXMA Pro 200
・価格:599ドル(約8万5000円)
・良いところ:画質のわりに高すぎない価格、プリントが速い、8色のインクで深く精細な色を表現できる
・良くないところ:プリントサイズが比較的大きくない、最高級のものほど精細ではない
PIXMA Pro 200はCanonのPROGRAFプリンターの約半分のお値段で、自宅で本格的な写真プリントを始めてみようかなって人にはコスパのバランスがちょうどいいです。8色のインクを使って、一般的な家庭用プリンターよりはるかに高度な深みやディテールを表現できます。プリントサイズは最大13インチ(A3+サイズまで)で、プログレードよりはちょっと小さいですが、たいていの場合には悪くありません。
動作面ではPIXMA Pro 200はすごく速くて、CanonによればA3+のプリントも約90秒で可能です。フチありの8 x 10インチ(203 x 254mm)プリントなら1分以下。パノラマ写真もプリント可です。写真には本気だけどプリンターの予算には制限がある、そんな人にもオススメです。
(日本国内では販売されておらず、海外通販で購入する形となるようです)
ベストな低予算フォトプリンター:Canon TS6420a
・価格:79ドル(約1万1000円)
・良いところ:写真にも文書にも使える、お手頃価格、スキャナもついてる
・良くないところ:専用フォトプリンターほど高画質じゃない
Canon TS6420aは、価格のわりに十分きれいなプリントができるお手頃プリンターです。大金は出したくないけどバケーションや家族の写真をフレームに入れて飾りたい、そんな人なら検討の価値があります。プロになったばかりのフォトグラファーなら、プリントへの入り口としては良いかもしれません。
Canon TS6420aはオールラウンドな家庭用プリンターなので、スキャナーも内蔵されてます。なので古いフィルム写真をスキャンしてオンラインで共有もできるし、自宅オフィスにおいて普段は文書印刷、たまに写真印刷というのでもいいです。インクの数は、プログレードだと12色とか10色ですが、Canon TS6420aは5色だけです。それでも、カートリッジふたつだけで動かしてるオフィス用プリンターよりはちょっとマシです。
(日本国内では現在販売がないようです)
ベストなポータブルフォトプリンター:Kodak Mini 3 Retro
・価格:129.99ドル(約1万8000円)
・良いところ:小さくて楽しいプリントがすぐにできる、すごくポータブル、インク交換不要
・良くないところ:プリントがすごく小さくてプロユースには向かない、Wi-Fi接続がなくBluetoothのみ
Kodak Mini 3 Retroは比較的手頃で、出先で小さなプリントをするのが簡単です。インクやインスタントフィルムの代わりにZero Ink(Zink)ペーパーを使ってるので、インクカートリッジ交換の心配はありません。
しかもポケットプリンターのわりには画質も良いし、サイズも小さいです。チープなポケットプリンターと違って、Kodak Mini 3 Retroはワイヤレス接続ができますが、BluetoothだけでWi-Fiじゃないです。プリントする前に、専用アプリでボーダーとかフィルターといった多少のカスタマイズができます。結婚式写真のパッケージにミニ写真を含めるとかじゃない限り、Kodak Mini 3 Retroはほぼ遊び用の製品です。Amazonでは83%の人が4つか5つの星を付けていて、レビューには取説どおりにちゃんと操作すればZinkペーパーをムダにしないで済む、とあります。
もっといろんな機能とかプリントサイズを大きくといったニーズがある人には、Canon PIXMA TR150ならバックパックに入るし、画質もアップして、お値段はプラス100ドルくらいです(日本国内では在庫があるストアがほとんどないようでしたが…)。
そんなわけで、ベストなフォトプリンターをここまで見てきました。写真プリントに求めるものは人それぞれだと思いますが、みんなが自分に合ったものを見つけるお手伝いができてたらうれしいです。
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