スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の最新機種を16日に発売した アップルは、物価高騰やテクノロジー支出の不振が続く中で今年のヒット商品とするために、裕福な消費者層を頼りにする構えだ。
最新機種「アイフォーン14」シリーズでは、最高の機能をハイエンドのプロ・モデルに搭載し、1000ドル(約14万3000円)以上の価格設定とした。予約注文のデータに基づけば、この戦略は既に消費者に受け入れられている様子で、最も高価な最新機種が 最も人気を集めるモデルとなっている。
モバイル機器やコンピューターへの支出は今年、全体的に鈍化しているが、アップルの強みである高級スマートフォンの購入意欲は根強い。そのため、業界の多くが生産計画を縮小する状況でもアップルの生産維持が可能になっている。
エバコアISIのアナリスト、アミット・ダリヤナニ氏は今週のリポートで、「アイフォーン14のプロとプロ・マックスの堅調な需要がデータで引き続き示されている」と述べ、製品構成や利益率にかなりプラスの影響があるだろうと指摘した。
アイフォーン14シリーズは「アップルウオッチ」や「エアポッド」の最新モデルと同時に今月発表された。インフレ圧力で値上げを余儀なくされるとのアナリストの想定に反してアップルは価格をほぼ据え置いたが、それでもかつてないほど消費者により高額な機種を売り込もうとしている。
スタンダードモデルの14は価格が799ドルからで、採用したチップは最新チップ「A16」ではなく昨年のモデルと同じ「A15」とした。プロ・モデルではA16を使い、カメラ機能も大幅に向上させ、「ダイナミック・アイランド」と称する新しいインターフェースも導入した。
このため、ユーザーが14のスタンダードモデルに機種変更する理由は少ない一方、機種代金が少し高くてもプロ・モデルにアップグレードするインセンティブは大きくなった。携帯電話サービス事業者の相次ぐ販売促進策や下取りキャンペーンも消費者を上位モデル購入に誘導する可能性がある。
原題:
Apple Counts on Upscale Shoppers to Turn Latest IPhone Into Hit(抜粋)
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