今月、米アップルが「iPhone14」シリーズを発表した。アップルに先立って、8月に新型のフォルダブルスマートフォンを発表したのが韓国サムスン電子。2019年にフォルダブルスマホを発売し、市場を創出してきた。同分野でシェア9割以上とされる。2~3年後にアップルの参入も予測され、さらに市場が拡大することだろう。ただ本当にフォルダブルスマホが市民権を得られるかどうかは、われわれ消費者の価値観が深く関わっている。
サムスン電子が今夏投入したのは「Galaxy Z Fold4」と「Galaxy Z Flip4」の2機種。Z Fold4は横開きタイプで、開くと小型タブレットサイズとなる。一方のZ Flip4は縦に開き、使い方としてはいわゆる“ガラケー”に近い。
初代iPhoneが発売されたのが07年。15年を経てスマホの進化も限界に近づいてきた。ディスプレイは額縁がなくなり、本体は軽く、薄くなった。バッテリーやチップの性能向上で、パフォーマンスも進化している。しかし正直言って目新しさはない。
現在の差別化ポイントはカメラだ。SNS全盛の今、動画や写真の画質が重要な要素となっている。スマホのCMをみても動画撮影や写真にスポットが当たる。
「スマホを次なるステージへ」-。その意味で、フォルダブル市場を切り拓いてきたサムスンの役割は大きい。サムスンが新たに手がける2機種が、同デバイスの進化の方向を示唆している。「小さく畳む」のか「開いて大きくする」のか…。
フォルダブルスマホは高価な価格帯もさることながら、そもそもの意義が問われている。手の大きさには限界があるからだ。現状のサイズを2つに折り畳むことに価値を見出せば、落下時にディスプレイを守ることができる。開いて大きくするメリットは、スマホとタブレットの2役をこなせることにある。
折り畳みのガラケーからスマホに変更して、むき出しのディスプレイに最初、手が震えた人もいるだろう。慣れとは怖いもので、今ではむき出しのディスプレイこそがスマホ。開く手間なく、すぐにSNSを確認でき、すぐに写真撮影できる。
折り畳みに回帰するのか。仮に値段が同じでも意見は分かれるに違いない。ディスプレイの折り目が気になる人、開く動作が手間と感じる人もいるだろう。ただガラケーからスマホに変えた時、多くの人が感動を覚えたはず。高価なフォルダブルスマホの価値も、各々に委ねられ、手にした者にしか分からない。
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