新型コロナウイルスの感染拡大により、開催が不透明な大相撲春場所（３月８日初日・エディオンアリーナ）は事実上、「無観客開催」か「中止」の２択に絞られた。日本相撲協会は３月１日の臨時理事会で通常開催を含めた３つの選択肢から最終判断するとしていたが、尾車事業部長（元大関・琴風）は２８日、「状況は厳しくなっている。プロ野球、サッカー、ラグビーなどが苦渋の決断をしている。相撲協会だけ通常開催というのはあり得ない」と方針を明らかにした。
感染拡大を防ぐため、２６日にスポーツ庁から中止や規模縮小などを要請する文書が協会に届いた。他のスポーツ団体でも中止や延期の動きが進んでいることも考慮。尾車部長は臨時理事会に向けて「今回は（協会の）執行部だけで決めるわけにはいかない。理事の方もいろいろ意見があるだろう。じっくり話を聞いて決めたい。決まった後も大変。なにしろ初めての経験。悩ましい」とため息をついた。
過去に１９４５年夏場所で一般非公開になった例があり、今回が無観客なら戦後初の事態。中止も、戦災で国技館の修復が遅れた４６年夏場所、八百長メール問題に揺れた１１年春場所の２度だけ。今後は完売した前売りチケットの払い戻し対応も必要となりそうだ。
この日、大阪・堺市の陸奥部屋宿舎で朝稽古した力士会会長の横綱・鶴竜は「いつも通りに調整するが、万が一のことを考えないといけない」と力士、来場者らへの感染拡大を憂慮した。
報知新聞社
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